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俺ストーリープロジェクト

自分と周囲の小さな話の記録

集中治療室

十数年前、母が癌で他界した。末期となってからターミナルケアを行う施設に入院してそう経ってないある夜、様態が急変したと連絡が受けた。病院の集中治療室についた頃には母はチアノーゼを起こして体中がむくみ、自分たちがよく知る母ではなくなっていた。

 

心停止をした後の蘇生の処置で母の心臓は動きだした。父と自分は黙り、姉は泣きながらずっと大声で呼びかけていた。だが当然返事はなかった。

  

夜が明けた頃に再び心停止をし、もう戻ってくる事はなかった。

姉はより一層激しく泣いてしまっていた。

  

すると、病院のスタッフが申し訳なさそうにして後ろからそっとこちらに言った。

「あの、他の方もいるので、静かにしていただけますでしょうか」

  

後ろをふと見ると、割とすぐ後ろについたてがあり、その向こうに酸素吸入をしている老人がやはり申し訳なさそうにこちらを見ていた。

  

集中治療室に相部屋が存在するとは知らなかった。

というより、あの部屋は集中治療室だったのだろうか。